Thursday, June 26, 2008

中間試験

春休みにようやく、大きな目標の1つであったVordiplom(中間試験)をやっとのことで終えた。
他の大学や専攻の中間試験はどうか、知らないけれど、私の大学の中間試験はそんなに難しいものではない。
なんていうか、神経を削られる試験でございました…。

うちの大学では、中間試験だからといって、特別な筆記試験があるわけでもなく、ただ自分でテーマを決めて、2ヶ月間、資料を集め、コンセプトをまとめ、モデルを作ってみんなの前で発表する、というものである。
この発表前に、教授による口答試験もあるけれど、この試験で落ちる人はまずいないらしい。教授も基本的に合格させるようにしているという。(中間試験では、の話。この間の卒業試験の口答試験で落とされた人はいた)
うちの大学ではこの試験、いつも夏休みか春休みにあり、学期内の課題の発表・提出が終了した時点でスタート。
ただ、学期末の課題が終わった時点で、学生はみんな疲れ果て、干物状態になっているのに、その直後からまた2ヶ月、日程的にはもっとハードな制作が始まるのである。
中間試験で落ちる人はいないというけれど、提出期限に間に合わないことが分かり、途中であきらめて次回の試験に回る人はいたそうだ。
多少ぬるい雰囲気の漂う試験だけれど、試験は、試験。
みんなできる限り良いものを発表したいので、やっぱりストレスとプレッシャーは発生する。
そんなこんなで、試験がようやく終わるころには、みんなフラフラ。
でも、試験終了の感~を味わっている余裕などなく、新学期が始まるのである。
そして、再び、2ヶ月、3ヶ月間の課題制作の日々…。
従って、人によっては試験直後の学期を自主的に休む人もいる。

無駄に年をくった貧乏学生のワタクシには、そんなお休み期間など取っている余裕があるハズもなく、そのまま新課題に突入です。
本当、切っ実に夏休みが待ち遠しいかったっす!(涙)

さて、今回の試験、実は前回の試験が変則的に学期内で行なわれるという、中途半端なことを大学が実施したために、いつもは受験者が10人 前後いるのに、どういうわけか4人。
更に、かなり濃いメンバーが揃った。

韓国人のDちゃんに日本人の私。
この時点で受験者の半分は外国人、しかもドイツから遠い遠い、東の果てのアジア出身者。
そして、私と同じ時期に入学し、他の同期生から「なにしに学校来てるんだろう?彼女、多分、本専攻はドイツ文学で、デザインは副専 攻なのよー(要は、ほとんど学校に来ない)」と陰でこっそり言われてしまっているにも関わらず、それでも幽霊のように大学に残り 続ける、やる気ゼロ女学生・FZ。
そして、やっぱり、私と同期生で最年長、どういうわけか2回も職業訓練を終了したのに、また一から大学で勉強を始めてしまった、 究極のいらんこと言いの33歳・F。

ドイツでは、高校卒業後に3年間の職業訓練(大学入学資格を持っていると、たまに2年間で修了できるらしい)を受けてから、大学に 入学する人はあまり珍しくないけれど、このF、2回の職業訓練を受け、それでも計算が合わないほどの年をくって大学に入学してきた。
私もかなり年はいってる学生だから、人のことは言えないし、Fも多分、どこかで働いたりしてたんだろうけどさ。
私はヤツの前でついうっかり、うまくいかない試験のモデル制作を愚痴ったら、逆に説教されてブルーになったことが…。
Dちゃんも、プレゼンで使うパワーポイントのデータがプレゼン直後まで出来あがらず、ようやく仕上げて使おうとしたら、機能 しなかったことがあって、真っ青になってたんだけど、Fは「こんな直前までもたもたしてて、更に使えないデータを持ってきて!」と本人の 前で追い討ちをかけるようなことをデカイ声で言ってたよ…。
根性が曲がっている、というタイプではないのだけど、疲れている五臓六腑に染みわたるトリカブト的言葉を、これまたここ1番のイライラの最高点で言い放つF。
ヤツと渡り合うためには、健康で鈍感な心身が必要なようだ…。

そして、モデル制作も大変だった。
これがうちの工房の先生達、みんな微妙に仲が悪く、そして、機嫌が悪いと学生に当りちらす。
ある時、どうしても1人で制作できず、工房の先生にいちいち次の行程をききながらやっていたら、「あんたは学校に来てるのに、なんで1人 で制作できないんだ!なにしに学校に来てる」と2回も3回も怒鳴られたり…。
…いや、だからさ…。やったことがないから分からない、それを勉強するためにきいてるんだけど、それに対して怒られても…。
結局、試験期間の2ヶ月、先生達の逆鱗に触れないように、やたらめったらビクビクしつつの制作をすることに。
多分、怒られても気にしなければいいんだけどね。どうせ、夜にはその日のことを全部忘れてるからさ。ドイツ人って。

これは私のドイツ人に対する偏見なんだけど、彼らは良く言えば、根に持たない、悪く言えば、忘れやすいという性質があるみたい。
もちろん個人差はあるけど。
基本的にはストレスに弱いので、人間関係のゴタゴタなどでも、日本人比べると精神的にもすぐに参ってしまい、逆にすぐ参って、あきら めてしまうからこそ、あんまり怨恨が残らないと言うか。
しかし、今回、あんまりにも工房のおばちゃんの先生に理不尽に怒られるもんだから、「分からないから仕方ないじゃん。きかないとできな いし!」とかなりキツク言い返してやったら、それ以来、おばちゃんの態度がよそよそしい…。
おばちゃんの中のブラックリストに載ってしまったンだろうか…?

更に、毎回、試験の公開プレゼンにはポスターを作るんだけど、これを担当したのが、F。
ポスターの試作を見せてもらったら、めちゃめちゃ、戦前、軍隊が使ってた日章旗チック…。
「…こ…、コレはちょっと…。アジア圏の人が見たら、いい気しない人もいるし…」とFには言ってみたのだが、結局、プレゼンの時も多少、 色が変更されてたものの、そのまんまになってしまってて。
一部、「日本人が一緒にやってるプレゼンで、こんなデザインを使って良いのか!?」と韓国人のDちゃんの方に質問した人もいた らしい。
これは後でDちゃんからきいたことなんだけど。
Dちゃんはそのことには、人に言われるまで気がつかず、私もFに「アジア圏では、問題のあるデザインだ」と言ったときにはたまたまDちゃん がいないときだった。
Dちゃんには、「Fがデザインしたものだし、私は気がつかなかったから別にいい」と言ってたし、私は「一応、事前にFにそのことは言った けど、結局、そのままになってた」とDちゃんにも伝えたので、問題は別になかったんだけど、この1件で疲れていたココロが更にドッと 疲れた気がした…。

最後にもう1つ、おまけがあって…。
このプレゼン会場に使用した部屋の片付けをめぐって、その部屋を管理している教授がうちの教授のところに怒鳴り込んできたらしい…。
私ともう1人がすぐにその教授のところに謝りにいって、それで話しは済んだんだけど、最後の最後でこの騒動だったため、試験後にやり 遂げた充実感みたいなものはあまりなく、「もうどうでもいい…。単位さえとれれば…」というヤサぐれた気分だけが残った…。

まあ、あと1年は卒業試験を受けられないので、それまでにパワーを蓄えねば。
あ、また研修先を探さないとダメなんだーーーーー(涙)


08.26.2004記(06.26.2008改)

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