Wednesday, June 25, 2008

美大入試に向けて・その4

まだまだ美大入試のための願書とファイルの提出までには時間があると思っていたのに、いつのまにか今月末には締切、という状態になっていた。

ファイルの作品自体はぼちぼち作っていたから、どうにかなりそうだったんだけど、この作品のほとんどが立体作品だったのだ。
そうすると、大学側にこの作品すべてを送りつけるわけにはいかず、写真を撮って、それをファイルにまとめて提出することにした。

作業途中で日本に置いてきた私の作品写真が、郵便事故にあったりして届かず、その写真の穴埋めをどうしようか、とウダウダ考えているうちに提出期限の5日前。
そこでやっと私の尻にがついた。

かなり大きな問題だったのが、ここがドイツ、だということ。
なんでも便利に調達できる日本とは違うのだ。
 24時間営業のコンビニなんて見たこともないし、第一、普通のお店は全て日曜日には閉まっている(法律で日曜日の商店の営業が禁止されている。日曜日に店を開けていると、罰金をとられるそう)。

カメラフィルムの現像も、30分後にハイ、できあがり、なんてことは絶対にない。
朝一番にフィルムをカメラ屋に持っていって、出来上がるのが1日後。ちょっと拡大なんかをお願いすると、もっとかかる。
しかも、上記の理由で週末は時間に気をつけていないと、店が閉まってしまう。

私は月曜日に大学側へ直接提出すべく作業していたのだけど、こういうときに限って、どういうわけかどうでもいいことをやりたくなるであった…。

この締切5日前の時点で、すでにどうにか作品数はぎりぎり足りていたし(数は。質の方は…)、これ以上、作品をつくる必要もなかった。
が、1つやりかけの作品が完成されずに部屋の隅に転がっていて、それを見た瞬間にどうしても完成させないわけにはいかなくなったのだ。

しかも、私のカメラにフラッシュはついてなくて、家にも良い照明装置はない。
つまり、昼間の太陽の方向が(写真撮影に)良いときしか、撮影ができないにもかかわらず、いきなり朝からその作品の続きをつくりはじめてしまった。
写真は、金曜日である、明日朝一で現像に出さないと、土曜日に写真ができない。
ドイツのお店の営業時間を考えると、土曜日に写真ができないと、月曜日の締切に間に合わない。なのに…。

「分かっとる。これ作っても作らんくっても、一緒やって。それより、作品の説明をドイツ語で書かなあかん。でもな…、でもな……でーもーなーー!!

とかなんとか叫びながら、ぶつぶつ独り言を言いつつ、結局徹夜でこの立体作品を仕上げ、へろへろになりながら写真を撮り、もうろうと歩いて写真屋ヘ…。
カメラ屋にて自分のフィルムを預けたときは、なにか大きなコトをやり遂げた感じがして、それはそれは爽快だったけど、実際には、やらねばならないことを放 り出して、自己満足のために貴重な時間を使用してしまっただけの話であって、このまま眠ることは、許されないことだった…。
そのまま、よろよろと家に帰り、すぐに作品の説明をドイツ語に翻訳する作業に入った。
これは、募集要項には「作品に説明をつけること」なんて、書いてなかったけど、私の作品は結構、抽象的なもので、後々になんらかの実用的な物体に転換しよ う、という試作品が多かったから、自分で必要だと判断しただけで、絵画や彫刻を専攻したい人には必要ないのかもしれない。
でも、この翻訳がかなりややこしい。
別に高尚なことを書きたかったわけでもない。問題は、ドイツ語の母語(元になった言語)が日本語のそれとは全く違う、ということ。
中国語は日本語の母語ではないけど、それから多くの影響を受けているため、四文字熟語をドイツ語にそのまま訳して中国人に言っても、意味を分かってもらえることが多い。
でも、これをドイツ人に言っても、ほぼ100%の確立で分かってもらえないのである。

私の場合、手紙を書くくらいなら問題ないけど(手紙や会話に四文字熟語なんて、私は使わないので…)、多少見栄えのする文章を書こうとするとちょっと難しい言葉を使いたいため、この翻訳はかーなーりー時間がかかった。
ものすごく短い文章だったにも関わらず…。

で、その文章はもちろん、ドイツ人の友人や、同居人に校正をしてもらわないといけなかったのだが、やっぱり意味不明なところが多く、そのたびに説明して…、書きなおして…、ということを繰り返して。
どうにか、夜の7時には翻訳も完了し、完成の目途が立ってきた。
次の日に写真を受け取り、土日にまだバラバラの状態だったファイルをまとめる作業をして、どうにか月曜日に大学にファイルを提出することができた。

余談なのだけど、徹夜明けの金曜日、午後8時には眠った私は、一晩中道路の工事現場のような歯軋りをしていたらしい…。
…疲れとったんやって!(それにしてもはた迷惑)


03.15.2002記(06.25.2008改)

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