Monday, September 01, 2008

やっぱり怖いA市の住宅事情

昨日、久しぶりにスイス人の友人とお茶しました。
彼女とはオランダ語コースに通ってたときに知り合い、しばらく連絡を取り合ってなかったのですが、3週間くらい前に「急遽、新しい部屋を探すことになったので、有効な情報があればなんでもいいので教えて!」というメールがきまして。
その後、自力で新しい部屋を見つけた彼女の役には立てなかったのですが、この件をきっかけに久しぶりにお茶しよう、ということになりました。

そして、会って7月末の状況を聞いてみたら…。
典型的なA市のトラブル(?)というか、かなり悲惨で、でもよくある話だったようです…。

彼女は建築家で今年1月から1年契約で、とある建築事務所に研修生として雇われていたのです。
が、いきなり7月に「来月から来なくてもいいよ」と言われ…。
つうか、仕事始めてすぐの試用期間中にそう言われるのなら納得できるものの、「あなたの仕事には満足しているけど、来月から来なくてもいい」って…。
理由を告げられることもなしに切られたそうです。

それなら、こじつけでもいいから、何か理由がほしかった!と彼女は憤慨しておりましたが、その後、(かなり)運よく別の事務所に8月からなんと正社員として就職が決まったそうなのです。(現在、まだ試用期間中で本契約前なので、これまた怖いと言ってましたが)
何はともあれ、次の仕事も見つかったし、思いがけず夏休みも取れたし(前の事務所に解雇を言い渡された時点で、1ヶ月待たずにすぐ辞めたので)で、実家のスイスに戻っていたらしいです。

そうしたら、A市の同居人から緊急連絡が入って…。

「今の部屋から7月末に退去しろって言われた!」と…。

彼女と同居人は、あるウクライナ人が借りているアパートに下宿人として入居していたのですが、その本来の借り手であるウクライナ人が家賃か何かの支払いを忘れたらしく、大家さんが即座に退去命令を出したようなのです。
この時点ですでに7月29日。
ここで抵抗する権利もない彼女(なにせ、Untermiete=下宿人なので、契約書が存在しない)は、その夜にスイスからA市までの飛行機のチケットを買い、30日にA市に戻り、31日にとりあえず友人宅に自分の荷物を運び込んだそうです。

これに懲りた彼女は、不動産屋を通して、運良く今月から合法的に借りられる、良い物件を見つけ、来週末にそっちに引っ越すことになった、ということなのです。

が、何が怖いって、同じような話を聞かされるのは彼女で実で4人目でして…。
以前A市で働いていたJ君の友人は、出張から自宅に戻ったら、自分の荷物がすべて家の前の道端に置かれていて、家の鍵も付け替えられていたとか…。

この手のトラブルに共通するのは、みんな「下宿人」として部屋を借りていた、ということです。
この場合、きちんとした契約書が存在しない場合が多く、また家賃を振込みではなく手渡しにする(銀行を経由すると記録に残るため)など、違法?合法?のボーダーラインのような感じになるので、大家さん側もかなり強硬な手段を使ってくるようです。

スイス人の彼女も「スイスではありえない!」と言ってましたが、A市はやっぱり吸引力のある街と言いましょうか、人材にしても住宅にしても買い手市場なんですね。
前の人をどれどけ粗末に扱っても、代わりの人はいくらでもやってくるので状況は変わらないというか…。

実は最近、J君の従弟が「A市に移住したいんだけど、どうやって仕事と部屋を探したらいい?」と相談を持ちかけてきてるのですよ。
観光客として外側から見えるA市の「自由な空気の魅力」は十分理解できるのですが、ここはやる気だけでやってきて、暮らしていけるような街ではないような…。

まず、居住拠点か仕事(というか、お金ですね)のどっちかを確保した上でないと、とてもじゃないけど移住できない、というのが私の印象です。(まあ、これはどこの国でも言えることなのですが)
J君の従弟はドイツ人なので滞在・労働許可の問題はないにしても、仕事を探す上で英語+専門技術は必須だし…。
J君もどうして返事をしたものか、とちょっと考えているようです。
(多分、従弟君はJ君が「A市で仕事を探した」と思ってるのですよ。実は「たまたま見つかった仕事がA市で、だった」のですが)

スイス人の友人の話やJ君の従弟の話を聞いてて、A市の魅力と住む上での苦労について考えさせられる週末になりました。

かくいう私もこっちに引っ越してくる前は多かれ少なかれ「ドイツより住みやすいかも」とか思ってましたが、住んでみるとたいして変わらないっすよ、ここも。

まあ、完璧な国なんかない、というのは当然のことなので、適当に感情と折り合いをつけて生活するしかないのですが、上記の話を聞いて、「ここで家探しなどするものか!!」との思いをを新たにいた次第です、ハイ。

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