Tuesday, July 01, 2008

大学のシステム変化と授業料

ここ数年、ドイツの大学のシステムに変化がありました。
1つは日本で主流の学士制度が導入されたことだと思います。(ただし、私はこのことに関して、専門的な知識を持っているわけではないので、ここに書くのは大体の話になってしまいますが、ご了承ください)

ドイツと日本の就学システムの違いはまず、ドイツの高校に相当するギムナジウムが19歳で終了することと言えるでしょう。
そのため、日本の高校を卒業してすぐに渡独しても、大学入学が認められないのはご存知の方も多いと思います。(大学入学には日本の大学の入試に合格したことを証明する書類が必要です)

そして、18歳を成人とするドイツでは、男子に兵役の義務が課せられます。
この兵役は拒否することも可能で、その代わりに民間奉仕作業を行うことになり、兵役、民間奉仕作業ともに1年ほど従事しなければなりません。

そのため、ドイツではかなりの学生が、大学入学の時点で20歳を超えているのです。

そしてつい最近まで、ドイツの大学の卒業資格はDiplom(ディプロム)またはMagister(マギスター)と呼ばれる日本の大学での修士に相当するものでした。
(注1*)
ドイツの大学では、「何年で卒業すること」という明確な決まりがないのですが(日本なら、「4年で卒業」というのが普通ですよね)、このDiplomやMagisterを取得するまでに5年から6年かかるのが一般的です。
少し前までは、8年以上大学に在籍する学生もすくなくなかったようです。

が、ここ数年、日本やアメリカで一般的な学士制度を導入する大学が増えているそうです。
しかし、高校までの教育システムの違いから、この学士も3年、または3年半で卒業となる、という話を聞いたことがあります。
私の通っていた美術大学では、学士制度は導入せず、Diplom制度をそのまま残した形となりましたが、そのシステムは徐々に変化してきています。
私は古いシステムのまま卒業しましたが、新しいシステムでは、Vordiplom(中間試験)やDiplom(卒業試験)が夏休みや冬休みに行われるのではなく、1課題として学期中に行われることになった、という話を聞きました。

このことは大学入学から卒業までにかかる年数を明確にすることと共に、その年数の短縮を目指すものだと思います。


2つ目の変化は授業料の導入でしょう。

ドイツは今でも学生にとって恵まれた国であると思いますし、実際に私もその恩恵に受け、大学で勉強していましたが、ハンブルグ(独立都市)やバイエルン州などでは、1年ほど前から1学期につき500ユーロ程度(日本円に換算すると80000円くらい)の授業料の支払いが義務付けられました。
他の州でも、大学側が指定する入学から卒業までに要する期間(9学期=4年半)+4学期以上在籍する学生にはこの授業料の支払いを義務付けているところがほとんどです。
州によっては、留学生は授業料の支払いを免除されるところもあるそうですが、私の大学のある州では日本人にはドイツの学生と同じように授業料の支払い義務がありました。

しかし、私は、ちょうど卒業すると同時に第1学期から授業料徴収が導入されたので、授業料の支払いを免れましたが、これから留学を目指している人はこのことを念頭においた上で計画をたてることが必要でしょう。


(注1*)
私が修了したのはDiplom課程です。DiplomとMagisterの違いについては、あまり詳しくないのでここに書くことは遠慮させてもらいます。
そして、Fachhochshule(ファーハホーホシューレ=専門単科大学)を卒業した場合には、卒業した際にFachdiplomという課程を修了したことになります。Fachhochschuleは他の大学よりも卒業年数が1年か1年半ほど短いことが一般的です。
これは大学とFachhochschuleの学生育成における目的と、それに伴って組み立てられたカリキュラムの違いからくるものでしょう。

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